江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第57回「修学旅行」(前編)  江本昌子公式ホームページ

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著者:江本昌子

第57回「修学旅行」(前編)

毎週木曜日更新

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高校の修学旅行は東京方面3泊4日の旅。

新幹線 飛行機は使わず、夕方出発して夜中じゅう走る修学旅行専用列車。
寝台なら横になって寝て行くことができるが そんなもんじゃないごく普通のどこでも走ってる列車。
4人がけの垂直な座椅子にパンパンに成長しまくった生徒がぎっしり肉詰め状態で座るので身動きひとつとれない。
これで寝ろと言われても、車中は明るいし 興奮しちゃって皆お目目パッチリ。ペチャクチャ喋りたおして疲れはて、やっと寝たと思った頃に まだ薄暗い東京駅に着いちゃった。

恐いものなんてひとつも無い女子高生の団体旅行は 行け行けどんどんで
「東京は芸能人だらけじゃけぇ誰か絶対逢えるよねえ」とか「東京の女の子のファッションってどんなんやろう」とおのぼりさん丸出し。
神社仏閣、歴史物の見学なんてさっぱりわからずチンプンカンプン。

私は三越デパートの自由時間に東京に住む姉と大学1年の兄に逢えたのが唯一の収穫で後はひたすら食べまくっていた。育ち盛りの乙女は皆よく食べる。
ソフトクリームの白、タコ焼きのソースの茶色、アメリカンドックのケチャップの赤と口のまわりを三重の輪っかにして
カールおじさんもビックリ!
3泊4日の楽しい旅行はあっという間に過ぎてしまった。 いつも通りの学園生活に戻ってすぐに修学旅行の感想文を書く宿題が出た。
クラスのほとんどが「あー楽しかった」の一行か せいぜい書けて原稿用紙一枚どまり。これには担任も大激怒。
学校に提出できないと愚痴っている。
ボキャブラリィが少ないんだから無理ってもんよと私達は涼しい顔。だいたいうちの担任は生徒にあまり人気のあるほうではなかった。

えこひいきが激しく度量が狭いのにその狭い自分の尺度で人を計る。偏見に満ちていて 下町の飲み屋街で生まれ育ち両親がいない 私はこれだけでもう立派な不良のレッテルを貼られてしまった。
そんなものだから 教師として、人としての教える言葉がうわべだけの薄っぺらなものに聞こえてしまって どうしても尊うことができなかった。
「誰か書ける奴はおらんのか」今日の説教はネチネチと長いなあ〜。
そして色街に住んでる気弱な友達の横に立ち頭をこづき始めた。
それを見たとたん私はバンッ!と思いっきり勢いよく立ち上がり「私が書いてきます!」と言っていた。

続く
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