江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第52回「モク」  江本昌子公式ホームページ

江本昌子の

著者:江本昌子

第52回「モク」

毎週木曜日更新

作者へのお便りをお待ちしてます。

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小学4年の時 モクという名の犬を飼っていた。
手足が短くフサフサの毛むんじゃらで雑種にしては西洋的な匂いのする小型犬。
又すぐ上の姉孝子が拾ってきたのである。
この人は捨て猫、捨て犬の前を素通りすることができない人で一時期、押し入れに6匹もの小猫を拾ってきて隠していた、
押し入れからミャーミャー大合唱するもんだから父に見つかり捨てられるところを「責任持って育てるから」と泣きついて新聞配達のアルバイトをしてミルク代を稼いでいた。
子だくさんの家庭に仔猫がうじゃうじゃチョロチョロ、そんな事おかまいなしの父は布団をあげても仔猫も一緒にしまっちゃうので夜布団をひくと平らに伸びきった猫が出てきてビックリってことがよくあった。
目が開かないうちから愛情込めて育てても大きくなると家に居つかなくなる、下町には犬 猫の集会所がたくさん有るようだ。
「ふん もう猫は飼わん」と言ってこりたのかなぁと思ってると今度は犬をだっこして帰ってきた。
これだもん これはもう性分やね、しかし この拾ってきた犬が大ヒット、あまりの可愛らしさに家中が癒された。
フサフサの毛に探したら見つかる真っ黒なつぶらな瞳、遠慮がちに付いてる手足、尻尾はどう探しても無い、
そのすんごい短い手足をオモイッきりフル回転してチョコマカチョコマカ走る?歩く?姿が毛玉が歩いている様で超可愛い〜。
外に繋いでると道行く人が立ち止まり人垣ができるほど。父は買い物に行く時も連れていき自慢気。貝掘りにもモクを連れて行った。
春休みのある日 家が空っぽになると可哀想という訳。私達が貝掘りをしている時も父はモクと一緒、昼どきになりお弁当タイム。
砂山のてっぺんで父特製のむすびを食べる。父の大きな手でむすんだおむすびは海苔もついてない 鮭もおかかも入ってないオーソドックスな大きな塩むすび、
おかずは分厚く切ったタクアンひときれ、卵焼きなんて当時贅沢でこれも当然なし。遠浅さの海の向こうにおぼろ気に大きな船が見えたり隠れたり揺れ動く、
春のなぎと潮風が肌に心地いい。
磯の香りをおかずに皆でワイワイ食べるおむすびは今では決して味わうことのできない格別なご馳走だった。
ワンワン モクが取ってきた貝のバケツを興味深げにのぞいて見ている。ピュッ!貝が潮を吹いた、キャンびっくりして跳びあがったモクは勢いあまって
そのまま砂山からコロコロと転がり落ちた。ハハハ父は大きな声で笑い皆も砂山をすべり降りて笑った。モクは皆に愛された幸福の使者であった。
6女の孝子姉が動物好きなのは家族構成にあると私は思っている。溺愛の5女と待望の長男の間で愛情薄く育った反動がそうさすのかなあ。
私も娘にはまんべんなく愛情をそそごぉっと。
先日上の娘から長いメールが届いた、私はその返事に'ハイ'と送ったら 二文字でメールを返すなとお叱りを受けた
だもんで'ハイ!'と三文字にした。どうよ


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