江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第38回「黒川温泉」 江本昌子公式ホームページ

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著者:江本昌子

第38回「黒川温泉」

毎週木曜日更新

作者へのお便りをお待ちしてます。

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3年前、娘と黒川温泉に行った。
「温泉入りに行こう」と朝早くに起こされ、ムニャムニャと布団の中で生返事をしていると
「黒川温泉にいくよ」と言うではないか。
「ナヌ?」いっぺんで目が覚めた。
思い立ったら吉日の私達親子は山口から九州のど真ん中までいざ出発〜!
山陽自動車道、九州横断道、大分横断道と走り、日田インターで降りると、
今度は「日田のお雛様を見ていこう」と娘が言う。
これまた思い立ったら親子は、いそいそと天領日田の雛祭りへ立ち寄った。
古い土壁が続く小ぶりな町並みは九州の小京都と言われるだけあって
シーズン真っ只中の雛祭りは観光客でいっぱい。
収集が一番多いと言われている蔵で古今雛や市松人形などを見てゆっくり一休み。

それからやっと走り出して黒川温泉に着いたのが2時半。
朝から何も食べていなかったのでなにか思い切りがっつきたいところ、が、どこもランチは二時までじゃないか!そんな〜と思いヘナヘナ飲食店街をさ迷っていると熊本郷土料理屋さんがまだやってる〜よかった。囲炉裏を囲みながら川魚や馬刺し等熊本ならではのものをいただく。遅い昼食をガッツリ食べ、
そこの店の方に目指す温泉への地図を書いてもらい10分で着くと言われたので歩いて行くことにした。
しかし、歩き始めて気がついた。
この山道のてっぺんにある露天風呂までどう見ても10分は無理じゃないかい?
車で10分ってことじゃないのお?
やれやれ今から降りて行ってタクシー呼ぶのももったいない。ついでに歩こうということになったが、
登りっぱなしの山道はきつくて、こんなに歩くのは小学校の遠足以来。
「こうなりゃヒッチハイクだぜ。」と下から来る車に思いっきり白い歯を見せて微笑み
指を立てて「ハ〜イ」とやってみるがゴオ〜!砂ぼこりをモコモコとあび素通りされる。
仕方ない。カバ母とデブ娘の二人組じゃモデルが悪すぎる。
ヒィ〜ちょっと休もうと木陰のベンチでバッタンキュー。
ピ・ピ・ピィ〜 携帯のメールだ。親友のホリッペからだ。
『そろそろ湯あたりしてる頃やろう』・・・って、まだひとつも入ってないし!
ぐぞ〜。宿の屋根がやっと見えるようになった所で、やっとヒッチハイクに成功!!
心優しき親子ずれに、真っ黒になった熊母とパンダ豚娘を拾ってもらってやっと湯に入ることができた。

近年、マスメディアの温泉ランキングに日本一に選ばれる黒川温泉は、渓谷の両側に小規模の旅館が立ち並び、
手つかずの自然の中でいろいろな露天風呂に入浴することができる。
「癒しの里」というコンセプトどおりの川と樹木の景観がこの里を活気付かせていた。
30年位前、団体旅行で来たときのコンクリート構造のホテルは黒川カラーに造りを変え、
唯一軒あったネオンギラギラのスナックは姿を消していた。
人でごったがえす今の黒川も素晴らしいけれども、昔のひなびた知る人ぞ知る頃のこじんまりしていた
黒川も懐かしかったなぁと思えた。

しかし、娘が温泉に行こうと急に言い出したのは、わびのつもりなのであろう。
寝ていた私の上に娘がどさっと乗ってきて、私の腰をグキっとひん曲げたからである。
黒川の湯でなんとか私の腰も治ったが、日田の写真も黒川の山登りの写真も
どれもこれも娘の横で立っている私はくの字なのである。

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